Mar 4th 14
久しぶりに、ソニーの「設立趣意書」に目を通す機会がありました。
「設立趣意書」というと、会社設立の目的の第一項
「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」がよく引用されますが、
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/CorporateInfo/History/prospectus.html
設立が、戦後すぐであったという特異な時代的背景や、会社の規模の相対的違いを差し引いたとしても、唱われているメッセージには、
ソニーのアイデンティティ、つまり時代を越えてソニーがソニーで有り続けるためのエッセンスであり、ソニーブランドの本質が凝縮している、と再認識し、
また創業者井深さんの崇高な志と魅力的な人間観、組織観に打たれました。
と同時に、現在のソニーはそのアイデンティティを加速度的に脆弱化させてしまってクライシスに陥っていると、強く感じてしまいます。
最近の商品からソニーらしさが失われていると感じるのは、経営方針の中にある次の文章が体現化された商品、
もしくはソニーにまつわる我々のブランド体験が年を追う毎に希薄になってきたから、ではないでしょうか。
「電気、機械等の形式的分類は避け、その両者を統合せるがごとき、他社の追随を絶対許さざる境地に独自なる製品化を行う」
ところで、現在のブランドメッセージは、ストリンガー氏が会長時代の2009年9月に発表された
"make.believe" が広告展開で使われていますが、ホームページにはトップの経営方針や理念的なメッセージともに見当たりません。
こうした現象も、「設立趣意書」を今や将来にどのように息づかせようとしているか、といった意思や志の社内共有を希薄にさせてきたことを物語っているようにも思えてなりません。
世の中にないものを見せてくれる、という期待を裏切らなかったソニーブランドの再生は可能なのか、、、。
昨今の事業分割が、ソニーブランドの再興に適った方向性での集中と選択であること、または設立趣意書に強い共感をもってかつてソニーに所属し、現在は外野でソニースピリットを受け継ぐ人たちの中から第二のソニーブランドが生まれること、のふたつの可能性を期待し、応援したいと思っています。
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