Feb 21st 14
昨夜の浅田選手の集大成の演技。
ジャンプの成功から徐々に集中度が増して、今までの自分を振り切るように駆けるステップ、前日のどん底からわきあがってくるような力強さに感動された方は多いのではないでしょうか。
前日のSPの失敗の後、技の実力があるのに力が発揮出来ないもったいなさから
彼女のメンタルの弱さがやたらと指摘され、彼女のメンタルトレーニングについて、またその必要性も注目されています。
メンタルトレーニングとは、一般にはストレスに対処できる力を育てること。
ここでは言われているのは、どのような場面でも最高のパフォーマンスが出来るように
自己コントロールできるトレーニングを指します。
気持ちの面での状況把握や分析をして自分の癖や気持ちの波などを知り、イメージトレーニングやリラクゼーションなどの対処スキルを学びます。
「心を強くする」というより自分を知って、緊張しないように、さらによりよい状態に
もっていけるようにするという方が分かりやすいと思います。
優秀なアスリートは経験からそのスキルを得ているようですが、それでも
「魔物が棲む」と言われるオリンピックでは、ムードにのまれ自分がわからなくなったり、突如訪れる不安で身体がすくんだりしてしまうのです。
試合後、浅田選手だけでなく佐藤コーチも呆然とされ「何が起こったか分からない」と話していました。
経験豊富な佐藤コーチですらあの場で同じ状況だったのではないでしょうか。
前日の失意のままでいる浅田選手にフリーの公式練習で「もうちょっと気合を入れてやりなさい」と渇を入れ、さらに
過去の教え子が病を推して試合に出る前に檄を飛ばし送り出した結果、最高の演技をしたと話したところ、初め浅田選手はムっとしたそうですが、この刺激でスイッチが入ったそうです。
呆然とした中にいるまま、切り替えが出来ずにいた浅田選手に檄を入れた佐藤コーチのコーチ力も素晴らしいですが、今の自分の状況を客観的に見つめ、同じパターンに乗らない自分との戦いに打ち勝った浅田選手の強さ、再生されたその力をたたえたいと思います。
彼女は、メンタルが弱いのではなく、対処スキルが足りなかったのだと思います。
また、コーチや指導者にも、実践的な心理学の理解があればよかったかなと感じました。
SPがやはり惜しまれますね。
自分の癖やパターンを知っていても、そのままにしておくと、ふとしたきっかけで不安から繰り返すのではないかと更に不安になるものです。
きちんと対処するスキルを練習し準備しておくことで、安心材料を増やすことでき、やれるという自己信頼感が生まれ余裕も生まれるはずです。
メンタルもやはり練習で鍛えられるのです。
怖れを知らず楽しんで滑っていた10代から
怖れをがんばりで乗り越えた浅田選手が、
またスケートを心から楽しんで滑っている姿は、きっと美しく別の感動を呼ぶのではないかと
期待してしまうのです。
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