Sep 20th 13
2020年のオリンピック開催地が東京に決まり、決定に際して今回の最終プレゼンテーションが
大きな決め手であったと報道されています。
スポーツの素晴らしさを実感したアスリートの言葉、東京の良さ、開催のメリット、日本人の美徳など、
大きなジェスチェーを交え、英語(フランス語)で情感込めて、堂々スピーチをするプレゼンターの姿に
「日本人も変わったな」と感じました。
このプレゼンにはニック・バーレー氏がコンサルとしてつき、表情・身振り手振り・声のトーン・抑揚まで指導し
「日本人を謙遜から解き放つ」こと、「感情を込めて表現する」ことを徹底されたそう。
以前このコラム(No11)にも書いた、非言語コミュニケーションの「メラビアンの法則」によると、
言語情報(プレゼン内容)以上に視覚・聴覚情報がその印象を決めるといわれています。
● 視覚情報(しぐさ、表情、視線、容姿、身だしなみなど) ・・・55%
● 聴覚情報(声の高低や大小、話の速さやテンポなど) ・・・38%
● 言語情報(話す言葉そのものの意味や内容) ・・・ 7%
そうと分かっていても、感情を込めて表現するというのはなかなか照れくさくて、慣れないとかえってぎこちなくなりがち。
プレゼンターのひとり、パラリンピックの佐藤選手も、当初は戸惑いがあり、
自身の病気や震災の事を(表現が大きいと)アピールするような表現に抵抗があったと話されていました。
しかし、自身のことばで語りかけている時、「当時の事を思い出し、自然と感情が湧いて表現できた」と話されていました。
佐藤選手のスピーチを拝見した際、嘘のないことばとその表現に引き込まれ、まるで佐藤さんの人生を
共有出来たかのような感覚になりました。
情感を込めて語ることは、当初はオーバーアクションに感じられても、じっくり味わいながら表現することで
自分の感情が湧いてくることがあります。
想像するに、佐藤さんはスピーチの練習を繰り返す事で、過去の思いをふりかえり、
これからの自分を見据えることをされていたのではないかと思うのです。
まるでカウンセリングのように。
だからスピーチが終わったあとのカタルシス(浄化)のある魅力的な表情をされていたのではないか、と感じました。
自分の言葉で語ることの大切さ、そして言語以外の表現力も鍛えることの重要性を知らしめた
東京招致最終プレゼンテーションでした。
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