Mar 13th 09
卵の卸売りを生業に40年以上の歴史がある徳島の小林ゴールドエッグという会社をご存じですか。NHKの番組で先日紹介されたこの会社は、養鶏場を持たず複数の養鶏場と取引しているため、扱う卵の品質や大きさ、種類にばらつきかあることが弱みでした。4年前、父親から引き継ぎ社長に就任した小林さんは、「弱みもアイデンティティなんじゃないか」と考え、「料理別たまご」のアイデアに行き着きました。「ばらつきは、多品種」と発想を変えることで、弱みは強みに転換。試食や養鶏場との意見交換等の試行錯誤の末、現在、約10種類の料理用たまごを商品化しています。
「品質にばらつきがある」というたまごのおろし専業の宿命のような特性から逃げずに、その存在の意味、意義を考え抜き、新たな企業価値を見いだした、これぞアイデンティティに根ざした経営の典型だ!、と思わず感動してしまいました。
一般的には、競争戦略というと業界の中の共通尺度で競争力を比較するなかで、相対的な弱みを克服し、強みを育むことと捉えがちです。しかし、みなが同じ考え方で弱みと強みを捉えていたら、理論的には、各社の個性は限りなく薄まっていくことになります。その結果、価格競争にさらされるというジレンマに陥ることになります。
小林さんのように、業界では弱みと思われていることを、これまでとは異なる視点、とりわけ顧客の視点から観てみることで、他社の追随を容易に許さない圧倒的な競争優位のポジションを獲得することが可能になります。
その出発点が、小林さんの場合、自社のアイデンティティを一旦そのまま受け入れ、業界的には弱みと見なされることを「持ち味」と認識することだったといえます。
番組からは社員の誇りとやる気の高さが伺えました。
この会社からしばらく目が離せなくなりました。ブログを時々見に行くことにします。
http://www.cgegg.co.jp/
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